<BBS連動企画>

話についていけてない…。 - mino 10/24-01:16 No.597」 より

エフェクトの基本的な知識を身につけよう、という話です。
「ビギナーのための・・・」というリクエストですが、ビギナーに毛が生えただけの私に
どこまで出来るか疑問です。
とりあえず始めてみますが、怪しくなってきたらすぐ終わりますので、あしからず。

パート1 <エフェクト>
パート2 <リバーブ>(一部修正)
パート3 <コンプレッサー>
パート4 <コンプのパラメーター>
パート5 <マスタリング・コンプ>

<エフェクト>

「エフェクトの分類」
いきなり興味の沸かない話題かもしれませんが、結構重要な部分ですので、
頭に入れておいてください。

分類といっても、色んな分け方があると思いますが、ここでは・・・
@ 原音そのものに変化を付けて出力するエフェクト
A 原音とエフェクト音をMIXして出力するエフェクト
この二つに分けて進めていきます。

@ の代表的なものは、ディストーション(歪み系)やコンプレッサー(ダイナミクス系)です。
A は、リバーブ・ディレイ(空間系)などです。
A の場合、原音を “ドライ” 、エフェクト音を “ウェット” といいます。

このあたりがどうして重要かというと、例えば A のタイプのエフェクトを使う場合、
AUXバスにエフェクトを配置して使うケースがあるからです。
AUXを使うことによって、ドライ音とウェット音とを独立してコントロールすることが
出来ます。
AUX送りにした場合の効果ですが、簡単な作例を聴いてみてください。

 ・元音
 ・リバーブ1 インサート・エフェクト
 ・リバーブ2 センド・エフェクト
(MP3 各50KB)

元音にかなり深めのリバーブをかけてみました。
トラックに直接リバーブをかけた場合(インサート・エフェクト)、ドライ音が引っ込んでしまい、
音の輪郭がボケてしまってます。
一方、AUX経由(センド・エフェクト)にすると、トラック側でドライ音を残したまま、
AUXへ送った音にリバーブがかかってますので、元音の輪郭がはっきり残っています。
もちろん、パラメータの設定は両者とも同じです。


初回にしては、やや高度(でもない?)な話でしたが、ちょっと工夫すれば
こういう効果が得られる、ということです。

次回(本編)では、リバーブの各パラメータの説明や、実際にAUXを使う方法なんかを
やります。

ご意見は、掲示板のこちらへ





<Reverb> (SONAR標準の “FX Reverb” の各パラメーターや、実際の効果について)

「リバーブの効果」
リバーブに限らず、ディレイ・コーラスなど空間系エフェクトの一般的な使用目的として、
  1. 音に、厚み・深みを与える
  2. 臨場感を出す
  3. 他のパート同士を馴染ませる
などが考えられます。
1.2. に関しては、説明の必要はないと思います。
3.は例えば、MIDI音源の音と、生録のギター・ボーカルとをミックスする場合なんかに、
大変効果を発揮してくれることがあります。イコライザーなどと併用すると効果的です。

またリバーブは、音を後ろに下げるような場合にも使います。
例えば、ストリングスに適切なリバーブをかける事で、あたかも、
ステージの後方で鳴っているような効果を与えることが出来ます。

「パラメーター」



・ ROOM SIZE
音場の広さの違いによる響きかたをシミュレーションします。
残響音の長さの違いではありません。
リバーブによっては、「ROOM Type」という表記の場合もあり、
また RoomSize と RoomType の両パラメーターを併用する場合もあります。
・ DECAY TIME
残響音の長さです。
Reverb TIME という場合もあります。

上記2つのパラメーターは非常に密接な関係にあり、普通 “ROOM Size” を
大きめにする場合は、DECAY Time も長めにとり、“ROOM Size” が小さい場合は、
短めにするほうがいいと思います。
大き目の “ROOM Size” で “Time” が短いと、残響音が途中で途切れたように
なってしまい、不自然なリバーブになります。

・ HIGH f ROLL OFF
高音域をどれだけ残響音に含めるか(だと思います)。
・ HIGH f DECAY
高音域のDECAY(残響の長さ)です。
・ DENSITY
“密度” ということですが、リバーブの “品質” という言い方もできます。
ギターなどの連続音ではわかりにくいんですが、ドラムのキックやスネアで
この値を上下してみると、はっきり違いがわかります。
最低にすると、プツプツと細かく途切れたような残響音になりますので、
特殊な効果をねらう時意外は、最大値でいいんじゃないでしょうか。
・ PRE DELEY
ドライ音が鳴ってから、残響音が鳴り始めるまでの時差です。
例えば、キックの「ドン」という音の場合、最小の“0ms”では、
「ドわぁ〜ん」という感じ。値を大きくすると、「ドン わぁ〜ん」という感じ?
ドライ音とウェット音とを分離する効果がありますので、ボーカルやリードパートで
音をはっきり出したい時に効果的ですが、値を大きくしすぎると逆効果です。
・ MOTION RATE/DEPTH
残響音にピッチ変化をつけます。かなり特殊な効果になりますね。
・ LEVEL
エフェクト通過後の出力レベルです。
・ MIX
ドライ音とウェット音との比率を調整します。
0%は、ウェット=0 、ドライ=100 のことで、リバーブがかかってない状態です。
前回に話したAUXを使う場合は、この値を 100% に設定し、ウェットの量は、
AUXで調整するのが正解(だそうです)。

「実際の設定」
これは好みの部分もありますので、ごく簡単に 「自然なリバーブ」 を目標に
試してみました。

 ・ ドライ100%
 ・スモール・ルーム・リバーブ (↓各パラメーターの値)
0.47 / 1.00 /20.00 /9.86 / 1.00 / 12.00 / 0.20 / 0.00 / 1.00 / 0.28
 ・ ラージ・ルーム・リバーブ
0.85 / 3.10 / 3.03 / 9.86 / 1.00 / 65.00 / 0.20 / 0.00 / 1.00 / 0.14
スモール・ルームの方は、残響音を短くした分MIX値を多めにしたために、
ドライ音が引っ込んで、一見広い場所でのリバーブに聞こえますが、

残響音そのものの音質が、“スモール” ですね(ホンマか?)。
ラージ・ルーム・リバーブは、MIXを少な目にしてますので、ドライ音が
はっきり聞こえます。

 (スモール・ルームの方、あらためて聴くと、リバーブ強すぎたので、修正しました。
  パラメーターの数値も、修正済みです。 MIX 0.43 → 0.28)

特別な意図がない限り、“かけ過ぎない” 方がいいと思います。
(作例は、どちらもちょっとかけ過ぎ)

言うまでもないことですが、問題は他のパートとミックスした状態で、どう聞こえるか
ですから、ミックス後に気に入らなければ、また元に戻って一からやり直してまたミックス、
またやり直し・・・根気が必要ですね。

ではまた。



<コンプレッサー>

(その前に) こういうご意見もあります
連動企画<揚げ足シリーズ> - HIROYA 10/28-15:15 No.677
私一人では心もとないんで、どんどん揚げ足とりをお待ちしてます。
(訂正)
リバーブのパラメーターで、「HIGH/ROLL OFF」 となってましたが、
「HIGH f ROLL OFF」(→ ハイ・フリケンシー・ロールオフ)の間違いでした。


リバーブの次は、普通 “ディレイ” とか、“コーラス・フランジャー” なんですが、
諸般の事情により、“コンプレッサー” を先にやります。
(試用期間中の “Mastering Comp” が使えるうちに、という事情です)


「コンプレッサーの効果」

1.録音時に、設定したレベルより大きな音をカットする(圧縮する)
これは “コンプレッサー” というより “リミッター” の役目ですが、
基本的には同じものです(ちょっと乱暴ですが)。
主な目的はもちろん、レベルオーバーを防ぐためですが、録音後の処理を
し易くする目的もあります。
2.録音済みの音の、レベルの大きい部分を抑える。
こちらをメインに話を進めます。
VST特集や掲示板でも、コンプレッサーの話題は結構多いんですが、
私、コンプレッサーのことは、よくわかってない事に気づきました。
んなもんで、詳しい説明は<揚げ足シリーズ>にお願いして、
幾つかの実例と簡単な説明で、お茶を濁したいと思います。


「EX.1」 TimeWorks CompressorX による、スネアドラムの処理。

下図はドラムス・パートの波形です。

何箇所かに大きく飛び出した波形があり、このままで他のパートとミックスするには、
ドラムス・パートの音量をかなり絞らないと、レベルオーバーしてしまいます。
しかしそうすると、ドラムスの音量の小さい部分が更に小さくなってしまい、
結果、弱々しいドラムになってしまいます。
そこで、この波形の飛び出した部分だけを押さえ込んでしまおう、といわけです。

オリジナル (MP3 30KB)
スネア・ドラムの弱打と強打です。
音量に大きな差があり、非常にミックスしにくい状態です。



CompressorX使用 (MP3 30KB)
弱打はそのまま、強打部分だけ小さくなってます。
波形がこれだけ圧縮されたにもかかわらず、
音は、それほど小さくなってないでしょう!
(われながら、上出来!)

このときの各設定は、下図の通りです。

(各パラメーターの説明は、次回にします)


「パラメーター」

SONAR FX Compressor/Gate


TW Comp]と、SONAR FX COMP とでは、見た目は全く別物ですが、
基本的なパラメーターは同じです。
ただFX COMPの方は、Gateも兼ねてますのでそのためのパラメーターが余分にあります。
(今回 Gate は無視)

@ Threshold(スレッショルド)
この値より大きなレベルの音を、圧縮します。
単位は “-dB” で、0 に近いほど圧縮が少なくなります。

A Ratio(レシオ)
元音に対して、どれくらい圧縮するかです。
単位は、“圧縮後 : 元音” の比率で表されます。
最大(∞)にすると、スレッショルド以上の音を完全に押さえ込んでしまいます。

B Attack
フル・コンプレッションに到達するまでの時間。
最小値は “0.1ms” ですから、ほとんど瞬時にフル・コンプレッションに達します。

C Release
フル・コンプレッションから、ゼロ・コンプレッションになるまでの、時間。

D Out Gain
コンプレッサーからの出力時のレベルを調整します。
コンプ後はレベルが下がりますので、ここで適切にレベル調整してやります。

E Wall
Comp] の方にだけあるパラメーターです。
PDFマニュアルによると、「OUT Gain の後にかかる」 となってます。
純粋に「リミッター」と考えていいんでしょうか???(フォロー希望)
今回のように、スネアの音を出来るだけ音質を変えずに抑えるには効果的でした。


書いてる私がよく分かってないぐらいですから、コンプを使ったことにない方には、
もっと分からないと思いますが、とにかく使ってみてください。

次回は、ミックス後にどういう違いが出てくるか、というあたりを攻めてみたいと思います。

色々と、ご意見・罵倒を頂いております。 連動企画コンプ<揚げ足シリーズ>


「マスタリング・コンプ」

ここまで、単一のパートでの使用例を紹介してきましたが、ミックス後に使うコンプも、
基本的には同じ考えでいいと思います。
ただ、SOANRのFX Comp や、Comp] は、マスタリング用途には向かないので、
(使いかたがヘタなのか)
ここでは、「AKAI Quad Comp(参照)「TW Mastering Compressor(参照)
使って、試してみます。

オリジナル
(MP3 340KB)
TW Mastering Comp
(MP3 340KB)
AKAI Quad Comp
(MP3 340KB)

オリジナルの波形では、キックと右寄りのライド・シンバルとが突出しており、
ノーマライズ後も全体的に細い波形になっています。
ミックス前の段階でこういう部分は、しっかり調整しておくべきなのは、
言うまでもありませんが、ミックス後にどれだけ修正できるのか、やってみました。

TW Mastering Compressor
ライド・シンバルが目立って、ちょっと聞きづらい感じもしますが、
元の素材が悪いので、仕方ありません。
これはイコライザーを併用することで、軽減できそうです。
低域が全く引っ込まないので、非常に力強い感じです。
スレッショルドを下げるだけで、自動的にこれだけの調整をしてくれるのは、
ありがたい!
AKAI Quad Comp
こちらは、4つの帯域ごとに、手動で調整することになります。
ライド・シンバルが耳に付くので、高域をやや強めに押さえ、
低域も、弱くならない程度に多めにスレッシェルドを下げました。
TW より、落ち着いた感じになったと思います。
両者で、スネアの音がかなり違う感じになったが、面白いですね。
どちらもそれなりに、いいんじゃないかと思います。


コンプレッサーの使用に関しては、掲示板でもかなり突っ込んだところまで
語られていますので、詳しくはそちらをご覧いただくとして、とりあえず、
どんな効果があるのか、というところが分かって頂ければと思います。

また、掲示板でも指摘されましたが、“積極的に音作りに使う” という使用方法も
あります。
そのあたり、実際に使ってみて試されることをオススメします。

一応こんなところで、しめくくりたいのですが・・・。