<BBS連動企画>

<グルーブクリップの作成>

 『 ★ - リズムパート - 慶田 06/09-08:00 No.1673 』 ( BBS Q&A より )
手っ取り早くリズムパートの作成を行う方法に関してですが、レスにもあるように、
SONAR付属のMIDIエフェクトを使ったり、ドラムス専用 VSTi / DXi などの
ソフト音源を使う方法、また、サンプリング素材を使ってグルーブクリップを作成する・・・
などがあります。
そのうちで、私がもっとも苦手とする “グルーブクリップの作成” を紹介します。
なにしろ、ほとんどやった事ないんで、とりあえず今回行った作業の手順だけですが、
これからグルーブクリップの加工などをやってみたいという方には、参考になるかもしれません。

サンプル素材には、基本パターンなどを演奏した “ループ” ものと、スネアやキックなどの
“ワンショット” もの があります。手っ取り早く使えるのは、もちろん ループものですが、
必ずしも気に入ったパターンがあるとは限りませんので、ワンショットの素材を使って
自分でループを作ることにします。


結論から先に言うと、“手っ取り早く・・・” は、難しいです。 ^^;
(ワタシ的には、MIDI音源を使うのが一番手っ取り早い)
しかし、サンプルを使うことのメリットは、非常に大きいと思います。
探せば必ず好みの音色が見つかりますし(多分)、
その音色も、MIDI音源よりも高音質で、リアルな場合が多いです。
また、一度 “グルーブクリップ” として保存しておけば、次回からは別のプロジェクトでも、
そのままか、僅かな修正を加えるだけで使い回しが出来ることもあります。

前置きが長くなりましたが、騙されたと思って、読んでみて下さい。


「素材を用意する」
SONAR にも多くのサンプル素材が付属してますし、もちろん市販のサンプリングCDなども
使えます。
サンプリングCD購入の際は、フォーマットに注意してください。
SONAR では、WAV 、 AIFF 、 ACID の各フォーマットが使えます。

今回使ったのは、「KAERU CAFE  50's Drum Sampling EX 」 ( KAERU KAFE
という サンプリングCDです。
この KAERU CAFE の各シリーズは、とにかく安いのが魅力です。
一般的には、安くても 6,000円〜10,000円程度はするんですが、これは 3,000円!
ただし、すべて “オーディオCD” として収録されてますので、SOANR で使うには、
まず オーディオCD ⇒ WAV 変換が必要ですが、これは リッピング・ソフトを使えば
それほどの手間じゃありませんね。
さらに KAERU CAFE シリーズの場合、素材の切り出しが必要になります。
(さすが安いだけのことあります。 ^^;)
幾つかのループやショットが、1つのトラックにまとめて入ってしまってるためです。
WAV に変換した後、SONAR や他の波形編集ソフトに読み込んで、手作業で
1つずつ切り取ってもいいのですが、当サイト 「Tools」ページで紹介している、
中ちゃん制作の 「WaveCutter Ver.1.3」 を使えば、自動的に行うことも出来ます。


ここまでで、ずいぶん手間がかかってしまいましたが、最初から “WAV” や “ACID” フォーマットの
サンプリングCDを購入すれば、もちろんこれまでの工程は省略できます。


「SONAR に読み込む」
素材が用意できたら、SONAR のオーディオ・トラックに読み込みます。
SONAR の |表示|ループエクスプローラ| で、目的の素材をオーディオトラックに
ドラッグする方法が、わかりやすくていいですね。

[図@]
このように、まずは素材を適当な位置に貼り付けます。
今回使用したのは、キック / スネア / ハイハット の各パーツと、それぞれの 強打/弱打 です。
キックやスネアなどのパーツ別にトラックを作っておき、これらを “オリジナル・トラック” として、
今後の作業は、別のオーディオ・トラックで行うことにします。


「タイムに合わせて、コピペ/移動」
この工程は、“スナップの設定” を上手く使うのがコツです。
思い通りの位置にクリップを置くためには、スナップを最適な解像度に合わせておく必要があります。


[図A]
目的のリズム・パターンにするために、各クリップを コピー/ペースト/移動するだけなんですが、
1つ注意が必要です。
移動や貼り付けの際に、下図のようなダイアログ・ボックスが現れます。

[図B]
特別な意図がない限り、ここで 「旧データを新データに置換」 を選択しておかないといけません。
移動・貼り付けによって、クリップ同士が重なる場合の処理方法なんですが、こうしておかないと、
重なった部分の 新・旧データが両方発音してしまい、音が変わったりクリップしたりします。

この作例は、1小節分のパターンですので、最終クリップのお尻をキッチリと小節の終わり位置に
揃えてカットしておきます。これをしておかないと、ループさせる時に不都合が出てきますので、
お忘れなく。

この段階で、各トラックの音量を整えるのはもちろんですが、エフェクト処理なども必要に応じて
済ませておいて下さい。


「ミックスダウン〜グルーブ化」
こうして作った各トラックをまとめて、別トラックに ミックスダウン します。
前項のすべてのトラック・すべてのクリップを選択し、|編集|トラックにミックスダウン| です。


[図C]
ミックスした新しいトラックです。
上図クリップ部分をダブルクリックすると、グルーブクリップ・ウィンドウが開きます。


[図D]
ここでの操作は、それほど難しくはありませんが重要ですので、確実に行ってください。

まず、図5 赤マル 1 のボタンを押します。これによって “ループするグルーブクリップ” に
することが出来ます。
次に、赤マル 2 で、クリップのビート数を指示します。作例は、「4分の4拍子」 での 1小節分ですので、
ビート数 = 4 拍 になりますね。
その下のスライダー 赤マル 3 は、クリップをどれだけ細かく分割して検出するかを決めます。
このクリップの場合、リズムの最小単位は 16分音符 になりますので、スライダーを調整して、
“16分音符” にします。
これで図のように、波形のアタック部分と、縦の点線とが一致します。

黒丸 のボタンは、このクリップをプロジェクトのキーに合わす必要がある場合に使います。
今回は ドラム・ループなので、キーを気にする必要はありませんから、押しません。

この状態で、グルーブクリップ・ウィンドウ内の再生ボタンを押して、音を確認してみてください。
問題なければウィンドウを閉じる前に、グルーブクリップ・ウィンドウの “保存” ボタンを押して、
このクリップを “ACID” として保存しておきましょう。

グルーブクリップ・ウィンドウを閉じて、トラック・ウィンドウに戻ると、

[図E]
このように、四隅が欠けたクリップになってます。これが “ループするグルーブクリップ” の印です。
“ループするグルーブクリップ” は、プロジェクトのテンポに自動的に同期してくれます。
つまり、曲のテンポを上げると速くなり、テンポをさげると遅くなるわけです。
通常のオーディオ・クリップは、そのような動作はしませんよね。
また、クリップの右端 (図 部分) を右方向へドラッグすることで、クリップがどんどん増えていきます。
通常、「 コピー ⇒ 繰返し回数を指定してペースト 」 という操作を、マウス・ドラッグだけで
一発で出来てしまいます。 (下図)

[図F]


こうして出来上がった作例です。
作例> (WAVファイル 350KB)
これ実は、先ほど “グルーブクリップ・ウィンドウ” で保存した、“ACID” ファイルですので、
ダウンロードして、SONAR に読み込んでみてください。(BBS Free に書込んだものと同じファイルです)
テンポを変更したり、クリップを右に伸ばしてみたりして、ご自身で確認してください。

駄作ですが、もしお気に召されたら、ご自由にお使いください。(作者)