<BBS連動企画>

BBS Free 「分解能 - ストラト 09/11-09:39No.5545 」 より
「 0.000625秒 の世界 」

実験1
実験2
補足・訂正など

分解能 「四分音符 = 960」 の時の “1ティック” って、どんな感じ?
ということで、実験してみました。
実験開始後、すぐに気づきました。誤差に埋もれて実験どころじゃありません。
そこで、“MIDI の精度” 、“分解能 960の有用性” などを考えてみることにしました。

「用語解説 」
 ・ MIDI の分解能 、ティック
  MIDI データを作成する際、最小の時間単位をどの程度細かくするか、ということは重要な要素のひとつです。
  SONAR は、初期値 960 となっていますので、変更していなければ、“四分音符 = 960 ティック”
  ということになります。
  ティック とは、その最小単位の呼び方です。 上の場合は、“1ティック = 四分音符 ÷ 960” となり、
  テンポが 100 なら、1ティック = 0.000625秒 となります。
 ・ サンプル
  オーディオレベルでの最小単位。 1サンプルの長さは、サンプリング周波数の設定によって決まります。
  一般的な 44.1KHz の場合、1サンプル =約 0.000027秒 となります。 テンポ=100 、分解能960 の場合、
  1ティック=約 23サンプルとなりますが、MIDI の分解能とは、直接的には無関係です。

<実験 1>
ごく負荷の軽いMIDIデータを再生し、そのMIDIデータを テイク1 〜 テイク8 まで
8回オーディオトラックに録音して、頭のズレを確認する。

この実験を、いくつか条件を変えて行いました。
共通データ : SONAR 2.2 、 音源 SC-8850 、 サウンドカード DELTA66 、プロジェクト テンポ=100

オーディオ部分で誤差が出る可能性を考えて、まずはオーディオ関連の設定を色々変更し、
それによって、誤差が変化するかどうかを確認しました。
 ・ WDM or ASIO
 ・ レイテンシ 2.9ms or 40.9ms
 ・ サンプリング周波数 44.1KHz or 96KHz
結構、差が出るんじゃないかと思ったんですが、確認できるような差は出ません(面白くない)。
サンプル単位での編集が可能な DAWソフトですから、オーディオレベルで
ハッキリわかるような誤差が出るハズないのかもしれませんね。
(SONAR の波形データの見かけ上の精度は、信頼に耐えるのかどうか、、、という疑問は無視します。)



[図@]



左図は、分解能960 、WDMドライバ 、44.1KHzですが
上記、オーディオ関連の各設定においては、
すべて、同等の結果でした。

最大誤差は、テイク 3 - 8 間の 68サンプル。
サンプル周波数 96KHz 時は、152サンプルでしたので
ほぼ 44.1 : 96 の比率通りだと思います。
時間で表すと、約 0.0018秒 になります。
MIDIティック数でいうと、3ティック弱 です。


サンプル数やティック数は、トラックウィンドウの
時間軸を拡大し、タイム・ルーラー上の数字を
読み取りました。
時間軸を最大に拡大すると、1サンプル単位の読取が
可能です。
この結果から単純に考えると、分解能960 のプロジェクトで、1ティックや2ティック単位の入力は無意味、
ということになります。

この後、“分解能 120” で、同様の実験を行ったところ、最大誤差 134サンプル という結果が出ました。
この結果が正しいとすれば、分解能を高く設定する方が誤差が少なくなる、という可能性があるんですが、
もう少し試してから、結論を出したいと思います。

もう1つ、MIDI インターフェースによる違いも、確認したいと思っています。
今のところ、SC-8850 の内蔵インターフェースと、UM-880 とで試したところ、誤差自体はほとんど変わりませんが、
出音に微妙な違いがあるような、ないような、興味深い結果が出てます。
こちらも、もう少し試してから、報告します。

レポート第二弾、乞ご期待!
2003/09/13


<実験 2>
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“分解能を高く設定する方が誤差が少なくなる、という可能性” ですが、
どうも、そんなことは無さそうです。
前回は、各設定で 8テイク の誤差を確認しましたが、今回 同一設定で24テイク連続で録ってみたところ、
分解能 48 〜 960 の各設定で、ハッキリとした違いは確認できませんでした。
すべての分解能で、100サンプル 前後の誤差が現われました。

それと今回、『ループ録音』 を使って “各テイクを異なるトラックに分けて保存” の設定で、録音を行ったのですが、
この設定で、20数トラック録音を繰り返すと、手作業で繰返し録音を行うよりも、頭のズレが大きくなるようです。
当方の環境のみでの現象かもしれませんが、ちょっと気になります。
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ということで、分解能の実験はこの辺で打ち切り。

『MIDI インターフェースの違いによる誤差』
SC-8850 を直接 PC とUSB接続した場合と、Roland UM-880 を介した場合との比較。

頭のズレに関しては、両者でほとんど差はありませんでした。 どちらも、60サンプル程度の誤差が出ました。
下図は、各波形を比較しやすいように、録音後に頭の位置を手作業で揃えたものです。


[図A]

図A左は、UM-880経由です。テイク1〜8 まで、波形にほとんど違いはありません。
図A右は、SC-8850を直接USB接続した時の波形です。 テイクによって、かなりのバラつきがあります。
この時のMIDIデータ (SONARバンドルファイル。 MIDI 1トラックのみです)
実際の出音でも、微妙に違いが表われてます。(図A 右側の テイク1 と テイク5 を連続再生)
テイク1 は、アタックがある程度揃ってますが、テイク5 は僅かにバラけて聴こえます。
UM-880経由の方は波形通り、各テイクの出音に差はないんですが、MIDIデータに忠実かどうかは疑問です。
右側の波形 テイク5 のように、ちょっとバラけて聴こえますよねぇ。(波形にも表われてますが)


“実験” と言えるほどのモノじゃありませんでしたが、とりあえず締め括りとしては、“機械を信用するな”
興味がおありの方は、お試しください。
2003/09/15


<補足・訂正 など・・・>

“揃ってるはずの音が、バラけて聴こえる” という件ですが、音の素材にも関係があるという、
初歩的なことに気付きませんでした。
素材は、ギターの “Eコード” を鳴らしてるんですが、低音側と高音側とでは、音の立ち上がりが違うために、
バラけて聴こえるのは当然かもしれません。
そこで、MIDI チャンネルの 1ch 〜 6ch に、まったく同じ単音を同時に発音させて、確かめてみました。

今回は、MIDI I/F 2種類に加えて、音源も SC-8850 と XV-5080 の2種類で確認しました。その結果・・・
 ・ “音のバラけ” は、いづれの組み合わせでも聴覚上は確認できませんでした。
 ・ テイクごとの頭ズレは、相変わらずあります。
 ・ MIDI I/F の比較では、やはり SC-8850 の I/F では、テイクごとに波形のバラツキがあります。
 ・ 『ループ録音』 では、やはり 頭ズレの程度が大きくなるようです。(これが最大の問題点かも)

ということです。
2003/09/16